鎔造化育論（明治6年） 【判型】大本3巻3冊。縦268粍。 【作者】佐藤信淵（ノブヒロ、元海・百祐・椿園チンエン）作。 【年代等】天保13年5月、佐藤信昭（升庵）跋。明治6年、井上頼圀序・刊。神習舎蔵板。［東京］吉岡十次郎製本。 【備考】分類「思想」。『鎔造化育論』は、神道的世界観により宇宙や霊魂、生命、肉体等を論じた書。漢文体。全10章、章見出しはなく、章の末に「右第一章」の如く示す。第1章は天地開闢、第2章は宇宙論（西洋天文学の成果を参照する）、第3章は大地（地球）の自転・公転と暦、第4章は男女の合歓、第5章は万物を構成する要素（以上上巻）、第6章は天地と父母に敬事すべきこと、第7章は霊魂と幽冥、第8章は命数と怨霊、遊魂、第9章は天の賞罰、第10章は経国について論ずる。なお、岩瀬文庫本の上巻後表紙見返には「〈岩瀬本〉鎔造化育論二冊について　川越重昌〈昭和四〇・七・二七〉／化育論は天柱説と共に信淵の宇宙観物質観を述へていますが「鎔造化育論」としての書名では最も初期のもののようです。／上巻六枚目表に「二箇定法」とありますが、本書より前の「天之真柱之記」（平田篤胤全集）には「一つの定例」とあり、この書の次に出るのには「二箇定例」と変り、更に「四定例」そして「五定例」と変化して出来上つていきますので、本書は初期のもののようであり、この種の化育論は他にはありません／信淵自筆の部分ははり紙のところですが、内閣本も広島大学本も秋田弥高本も無窮会本も皆四定例時代のもので、二定例の初期の「二定法」という期のものはこの二冊があるきりと思います」と書かれたペン書便箋1紙を添付する。また、同文庫が所蔵する自筆稿本『鎔造化育論』は、刊本との異動が目立つ（西尾市岩瀬文庫・古典籍書誌DB）。 ★原装・題簽付・美本。記名なし・蔵書印あり。【参考価格（初出品時の相場）：日本の古本屋で、原装題簽付き3冊揃いが15,000円～19,800円】。