5586円
1989年に発表されたアルバム『FLOWERS IN THE DIRT』は、古くからのファンにとっては意識の中では最近のアルバムに分類されるであろうが、既にビートルズの歴史の一部となっている。2017年現在リリースから30年弱が経過しようとしている。おそらくこの時期からポールは再び10年ぶりのツアーを念頭に置いていたに違いない。そのためのバンド、そのためのアルバムが必要であった。それもただのアルバムではなく、ツアーを成功に導くヒット作を必要としていたはずである。『PRESS TO PLAY』ではツアーに出ることは困難だったのである。そこで従来の例に漏れず、自分と対等もしくは、意見をしてくれるパートナーを求めた。そこで白羽の矢が立ったのがエルヴィス・コステロであった。コステロはかつてビートルズ・ファン・クラブに入っていたくらいのポール・ファンであり、ポールに対し敬意もある。しかし一方では、少し毒舌過ぎるくらいポールに意見できるカルトな人気と実績と性格をも持ち合わせていた。方向性を見失いつつあった80年代のポールが再出発するパートナーとしては申し分ない相手であった。 ポールとコステロの共同作業の結果、数多くの楽曲が生まれている。それらは『FLOWERS IN THE DIRT』と、コステロの当時の最新アルバム『SPIKE』に分散され収録された。なので曲によっては同じ曲でもポール・バージョンとコステロ・バージョンがあったりする。また収録しきれなかった曲のいくつかは『OFF THE GROUND』に流用されている。また従来のコラボ企画同様、「YOU WANT HER TOO」ではお互いがヴォーカルをとるデュエットとなっている。セールス的には大ヒットとまではいかなかったものの、このアルバムに伴うポールにとって10年ぶりのツアーが行なわれたこともあり、ファンにとっては印象強いアルバムとなっている。本作は、この『FLOWERS IN THE DIRT』のセッション音源をディスク6枚に渡って収録した、魂のこもったタイトルである。アルバム収録曲のみならず、同時期にレコーディングされた未発表曲やシングルのみの曲など、初登場音源を含む集大成となっている。美しいピクチャー・ディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。スリップケース付。